発行元 青山淳平 .
エディションノート
がんの腎臓を摘出して病巣を取り除き、再び人体に移植するーー命をつなげたい患者の思いを受けとめてこの究極の手術にいどんだ移植医がいる。
許されるのか、無謀なのか。
この長編小説は、幾多の妨害とたたかってその道をこじ開けた人たちの感動のドラマである。
難波紘二(鹿鳴荘病理研究所、広島大学名誉教授)
二〇〇九年一月二十七日、厚労省は……都道府県、各指定都市と中核市へ、「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)の取り扱いについて通達をだし、「いわゆる病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していないこと」(がんの病腎も臨床研究に関する倫理指針を遵守すれば、移植してよい)等につき、管下の医療機関等へ周知するように指示した。
医療法人徳洲会では、同年十二月に臨床研究の修復腎移植の第一例を実施。以後、二〇一三年八月までに十二例の修復腎移植をおこなっているが、ドナーもレシピエントも元気に社会生活を送っている。